アブダクションを習得しよう!具体例と共に詳しく解説~1日でも早く見たかったブログ~
はじめに
どうも Junite です。
今回は、論理的推論の一つであるアブダクションについて、詳しく解説していきたいと思います。
アブダクションとは
アブダクションは、論理的推論の一つであり、規則と結論の二つの事柄から、前提条件という未知の事柄を導くことを言います。
つまり、ある出来事Aに対して、その前に起きた出来事Bを予想することです。
これだけでは分かりづらいと思うので、次の具体例とともに、イメージを掴んでいきましょう。
ちなみに、論理的推論は、”演繹法”と”帰納法”の他の二つと合わせて三種類に分類することが出来ます。
アブダクションの具体例
ここからはアブダクションの具体例を見ていきたいと思います。
具体例1
結論:A君が骨折をした
規則:階段から落ちると骨折する
↓ ↓
↓ <アブダクション> ↓
↓ ↓
前提条件:A君は階段から落ちた
A君が骨折しているのを見て、階段から落ちると骨折することから、A君は階段から落ちたと推論します。これがアブダクションです。
具体例2
結論:警察官が集まっている
規則:事件が起きると警察官が集まる
↓ ↓
↓ <アブダクション> ↓
↓ ↓
前提条件:事件が起きた
こちらも警察官が集まっているのを見て、事件が起きると警察官が集まることから、事件が起きたと推論しているので、これもアブダクションです。
アブダクションの大体のイメージが掴めましたでしょうか。
アブダクションの詳細
ここからはアブダクションについて詳しく解説していきたいと思います。
身近で当たり前
アブダクションという言葉だけを聞くと、何だか難しい概念のように思われるかもしれませんが、ここまでの説明からも分かるように、それ自体はすごく当たり前で身近なものです。
実際、日頃から我々は様々なことをアブダクションを用いて推論しています。上で挙げた具体例のような状況も、日常でよくみられる光景でしょう。アブダクションという言葉自体を知らないだけで、無意識の内に既に使っているのです。
最も妥当な前提条件を導く
選択肢として考えられる前提条件は、一つだけとは限りません。むしろ、複数考えられるケースの方が多いです。
よって、アブダクションをする際は、選択肢の中から最も妥当なものを選ぶ必要があります。
具体例1を見てみましょう。具体例1では、A君が骨折していることから、A君が階段から落ちたのだと推測していますが、骨折する原因は他にも考えられます。例えば、「激しい喧嘩をする」や「交通事故にあった」などです。
複数の情報から考える
複数の選択肢の中から、妥当な推論を導き出すためには、一つの結論だけではなく、複数の結論と照らし合わせることが重要です。
実際に、我々が無意識にアブダクションをしている時も、様々な情報を元に判断しています。
具体例1を見てみましょう。具体例1では、結論が一つしかありませんので、どの前提条件が妥当かを判断するのは難しいです。しかし「A君はとてもおとなしい性格である」という情報があればどうでしょう。「激しい喧嘩をする」という前提条件の妥当性が下がり、より正確に推論できるようになったのではないでしょうか。
同様に「都市部から離れており交通量が少ない」という情報があれば、「交通事故にあった」という前提条件の妥当性が下がり、「階段から落ちた」という前提条件が最も適当な推論に近くなります。
絶対に正しいわけではない
ここまでの説明で分かってる人もいるかと思いますが、アブダクションで得られた前提条件は、必ずしも正しいとは限りません。あくまでも、正しい確率が高いだけです。
先ほど、複数の情報から、「A君が階段から落ちた」という前提条件を導きましたが、絶対に正しいわけではありませんよね。今までの規則になくて予測できない場合もあります。もし、(実際にはあり得ませんが)カイワレを食べて骨折したとすれば、それを推論することは不可能ですよね。
アブダクションの注意点
ここからはアブダクションを使う時の注意点について解説していきます。
断定してはいけない
規則:AならばBである
結論:Bである
前提条件:Aである
上のように、前提条件を断定してしまうことを後件肯定といいます。
Bである原因はA以外にも考えられるため、Bであるという結論からはその原因を特定することができず、前提条件を断定することはできません。よって、後件肯定は間違った推論です。
なので、アブダクションで得られた結論は、後件肯定にならないように、必ず推量にするべきです。
一方で、アブダクションで得られた前提条件は全て正しい可能性が高いに過ぎないという前提の元、推量ではなく断定で言い切っている場合もあります。
その場合は、例え断定として言い切っていても、蓋然的に正しいという意味で使用していることに注意すべきです。
いずれにしろ、アブダクションで得られた前提条件は、絶対に正しいことはなく、あくまでも正しい可能性が高いだけということには、常に気を付けておきましょう。
アブダクションを習得するメリット
ここからはアブダクションを習得するメリットについて解説していきますが、ここでいう習得するというのは、何が”規則”と”結論”で、そこから何という”前提条件”を導いたことを理解して使えるようになるということです。
自分の思考を可視化できる
一つ目は、自分の思考を可視化できるということです。
いままでぼんやりと考えていたことが、意識的にアブダクションを使えるようになることで、思考の構造をはっきりさせることができます。
間違いの原因に気づきやすい
二つ目は、間違いの原因に気づきやすくなることです。
アブダクションを習得すれば、自分がいつアブダクションをしているかを把握することができ、その際に、アブダクションを使用する上での注意点に留意することで、間違いが起きてもすぐに気づくことができます。
アブダクションの習得方法
ここからはアブダクションの習得方法について解説していきたいと思います。
推論を自覚する
まず最初の基礎の基礎として、自分が無自覚の内にしている推論を自覚しましょう。
我々は日常生活の中で、様々な推論を無意識にしています。相手の気持ちを表情から予測する時にもしていますし、今夜の夕飯を考える時にもしています。未知の事柄を予測するのは全て推論です。
当たり前すぎるかもしれませんが、今後の練習にも、自分の思考を認識するにも重要ですので、必ずやってみましょう。日常に溢れる推論の多さに驚くはずです。
推論の構成要素を捉える
次に、上で認識した推論に焦点を当てて、構成要素が何かを捉えましょう。つまり、何と何を元にして何を得たのかを明確にしましょう。
この段階では、何が前提条件で規則で結論かは分からなくていいです。とにかく、推論の際に使った全ての要素を洗い出せるようにしましょう。
また、無意識のうちに使っている前提条件や規則に注意しましょう。
これらは、当たり前すぎて気にしないパターンが特に多いのですが、推論をする際には、無意識で使う前提条件や規則で間違いが起こりやすいので、常に意識するよう心掛けておきましょう。
要素を分析する
推論の構成要素が分かったら、どれが前提条件で規則で結論なのか分析しましょう。
構成要素が分析できると、どの要素を推論で導いたかによって、どの論理的推論法を使ったのかを判別することができます。前提条件を導くのがアブダクションです。
はじめのうちは、上とこれを繰り返して、アブダクションに対する理解を深めることを目標にしましょう。自分の思考がアブダクションだと認識できるようになれば、次のステップに進みましょう。
アブダクションを使ってみる
自分のした無自覚の推論を分類できるようになったら、今度は意識的にアブダクションをできるようにしましょう。
具体的には、身のまわりに起きた現象を結論として、自分の知っている色々な規則を適用して、前提条件を推論してみましょう。
例えば、いつもより電車が混んでいると感じたら、それを結論として、自分の知っている知識から原因を予測するなどです。
この際に重要なのが、自分がどのような規則を使って導いたのかを必ず明確にすることです。ここで自分の使った規則をあやふやにしてしまうと、推論の妥当性などを吟味する際に、それができなくなってしまいます。
正しいか判断する
意識的にアブダクションを使えるようになったら、最後に、そのアブダクションに間違いがないかを分析しましょう。これができないと、アブダクションを習得するメリットが小さくなってしまいます。
具体的には、上で挙げた注意点を意識して、規則や結論自体があっているのかを確認しましょう。
ここまでくれば、アブダクションは完璧です。習得する前よりも、自分の思考が可視化されて、分かりやすくなったのではないでしょうか。
練習問題
ここからは練習問題になります。アブダクションの習得に利用してください。
問題1
下に示す12個の文章が、それぞれ推論であるかどうか判定しなさい。
解答・解説
練習問題の解答・解説です。
問題1
おわりに
最後までありがとうございました。
ぜひ、積極的に日常的にアブダクションを意識して、習得しましょう!
何か分からないことがあれば、お気軽にコメント等でお問い合わせください!